「あんぱんまん、あんぱんまん」
と叫びながら走ってゆく2~3歳の女の子の後をおとうさんらしき人が追いかけて行きます。
上野動物園の傍にある遊園地前での出来事です。
私もつられてその遊園地の入り口へ向かっていました。
すると、入り口にはチエーンが掛かってあり、<閉園>と書いた立て札もあります。
「閉園だって。入れないよ」とお父さんは小さい声で言います。女の子はぼんやり立っています。
すると同じ年頃の別の女の子が階段を駆け上がり、チェーンをくぐって中に入って行きました。
その時、横手から突然駆け上がって行った女性は、その子のお母さんだと思います。
遊園地内に入った女の子を捕まえようとしましたが、それが
結構手間取ったのです。
無事に捕まりましたけれどね。
ところで、その閉園の貼り紙読んでみました。一部を紹介しましょう。
<70年間ありがとうございました。>・・略・・
<この度、地主である東京都が「動物園の魅力を高めることを目的とした正門前の整備の工事の支障となると、
許可を取り消されましたので、やむおえず8月31日〈水〉をもちまして閉園致しました>
70年間遊園地が続いたということは・・
この遊園地は終戦直後から続けていたということになります。
確かに私の子供の頃の記憶のなかに、動物園にやって来た嬉しい気持と、
たたき売り屋の声などのざわめきと共に、この遊園地はあったように思います。
上野公園の雰囲気は近年変わりました。昭和が遠ざかるということなのでしょうか。
その変貌の中に昔ながらのお店が繁盛したりしている光景も見つけることが出来ます。